Gl17さんへ

ブログなんて書く余裕がないほど生活が逼迫して、三年以上日記を放置し、たまにブックマークをつけるだけだったのですが、どうしても書く必要があると感じたので、日記を書きます。

id:Gl17さんのブックマーク、

諸外国の言うことは全てプロパガンダだ!だから史実なぞ無視、というプロパガンダ。無論それを進めた先は全世界を敵に回す閉塞しか無く、日本国内の(まともな)歴史学すらどうやっても敵。行着く先は北朝鮮の鏡像。
http://b.hatena.ne.jp/Gl17/20131002#bookmark-163749206

についてです。

この「北朝鮮の鏡像」とは、どのような意味なのでしょうか。諸外国の言い分をすべてプロパガンダと主張するプロパガンダだらけで、八木秀次氏のような歴史修正主義を徹底し、歴史学を敵視し、全世界を敵に回す国家が「北朝鮮*1であり、日本もやがて「北朝鮮」の鏡像のような国家になる、という意味でしょうか。

私は、上のような発言は、「北朝鮮」を悪魔化し、朝鮮学校を無償化から排除するような理屈と通じ合うものだと思っています。日本の極右勢力を「行き着く先は北朝鮮」と評する時、「北朝鮮」が悪の全体主義国家であることは当然のように前提されています。「北朝鮮」を悪魔化し、それに関わるものを悪しきものとする日本の空気こそが、朝鮮学校の無償化排除などのもろもろの差別的行為を支えている以上、この前提を肯定することができません。

日本が「北朝鮮」の鏡像になるのではなく、むしろ日本の鏡像として「北朝鮮」のイメージが作られているのではないでしょうか。右翼にせよ、リベラルにせよ、自らが思う日本の悪い部分を凝縮させたものとして北朝鮮をイメージする。右翼は「左翼の理想は北朝鮮」と言い、リベラルも「右翼の行き着く先は北朝鮮」と言う。どちらも、敵の悪い部分(と信じている点)を北朝鮮と名指し、蔑称として用いる。その「北朝鮮」という言葉に実体はなく、単に相手の主張をグロテスクにしたものとしてのイメージがあるだけ。空気のような「北朝鮮」差別には、暗澹とした気持ちになります。

私は、ブックマークのお気に入りにGl17さんを入れています。基本的にその言動を好ましく思っています。だからこそ、極右勢力を揶揄する言葉として「北朝鮮」を使ってほしくないのです。「北朝鮮」の単純な悪魔化をやめてほしい、という私の希望を分かっていただけるでしょうか。

*1:以下、すべて「」付きで「北朝鮮」と表記します。実体の伴わない表象としての「北朝鮮」を意味し、朝鮮民主主義人民共和国とは異なる表象のことです。