ももいろクローバーZの男祭について

ももクロこと、ももいろクローバーZ太宰府市大宰府政庁跡で行う男性限定ライブについて、市民団体から苦情が出て、市長が名称変更等を求める事態になっています。(参照http://digital.asahi.com/articles/ASHBF51RBHBFTIPE01W.html?_requesturl=articles%2FASHBF51RBHBFTIPE01W.html&rm=381

こうした女性権利団体の申し入れが報道された場合に良くあるように、インターネット上では市民団体へのバッシングも行われているようです。モノノフ(ももクロファン)のヒステリックな反応が残念なので、ももクロファンの一人として、分かる限りの経緯と見解を書いておきたいと思います。

経緯

太宰府天満宮からライブ開催の依頼

ももクロ侍というサイトの記事(http://momoclozamurai.xxxblog.jp/archives/37553355.html)で明らかなように、太宰府天満宮宮司ももクロの運営は、ももクロを結婚式に出席させるくらい親密な関係だったようです。そして、太宰府天満宮より、ライブの開催がもちかけられたようです。

昨年、大宰府天満宮側から「ももクロを通じて歴史を知ってほしい」と開催の打診を受け(…後略…)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151013-00000128-spnannex-ent

太宰府市から誘致を受けた、というような情報も見られましたが、ももクロ運営と懇意だった太宰府天満宮から依頼を受けたということのようです。

実行委員会の結成

ももクロの男祭の会場である大宰府政庁跡でライブを行うためには、大義名分と市の関与が必要となるようです。そのため、九州国立博物館開館10周年、水城築造1350年記念といった大義名分で、市、九州国立博物館太宰府天満宮などによる実行委員会を7月に結成しました。

市によると、特別史跡でイベントを開催する場合、大義名分と市の関与が必要となるが、史跡の使用料は原則無料という。「大義名分」として今回は九州国立博物館開館10周年、水城築造1350年記念などの冠がついている。
http://digital.asahi.com/articles/ASHBF51RBHBFTIPE01W.html?_requesturl=articles%2FASHBF51RBHBFTIPE01W.html&rm=381

コンサートは太宰府天満宮、九博、市などでつくる実行委が計画。
http://digital.asahi.com/articles/ASHBB4Q81HBBTIPE00J.html?_requesturl=articles/ASHBB4Q81HBBTIPE00J.html&rm=331

市が関与し、市が実行委員として企画に関わっている以上、単なる私的なイベントということはあり得ないでしょう。また、これは推測ですが、市が管理している国の史跡をイベントで使う場合、営利目的でのイベントを禁止するような内規が存在するかもしれません。

議員協議会は非公開であった。出席議員らによると、当初7千円の予定だったチケットが最終的に8500円になったことについて、ある議員は「入場料がかなり高額。営利目的ではないか」とただした。
http://digital.asahi.com/articles/ASHBF51RBHBFTIPE01W.html?_requesturl=articles%2FASHBF51RBHBFTIPE01W.html&rm=381

議員から営利目的でないかと追及されたのは、営利目的のイベントを行わないという取り決めがあるからだと推測することができます。
いずれにせよ、実質的にはスターダストプロモーションの企画運営だったのでしょうが、大宰府政庁跡をライブ会場とするために、建前上は市が実行委員会に名を連ねて計画に関わっていることにしたのでしょう。

ももクロ運営が市の要求を拒否?

建前上は市も計画に関わっていることになっていましたが、実際には市はライブの内容を把握していなかったようです。8月に入ってようやく、男性限定のイベントだと知ったようです(http://www.news24.jp/articles/2015/10/14/07312197.htmlhttp://digital.asahi.com/articles/ASHBB4Q81HBBTIPE00J.html?_requesturl=articles/ASHBB4Q81HBBTIPE00J.html&rm=331)。九州国立博物館開館10周年、水城築造1350年記念といった大義名分では、女性を排除することを正当化できないため、市もしくは太宰府天満宮は是正を申し入れたようです。しかし、ももクロ運営に拒否されます(同上)。
ただし、ももクロ運営側は、話し合いで決めたという認識のようです(https://twitter.com/teusisu/status/653873786194755584)。これも推測になりますが、「太宰府天満宮にある実行委事務局の担当者」(http://digital.asahi.com/articles/ASHBF51RBHBFTIPE01W.html?_requesturl=articles%2FASHBF51RBHBFTIPE01W.html&rm=381)という記述が朝日新聞の記事中にあることから、実行委員の実務は太宰府天満宮が担当し、太宰府天満宮ももクロ運営の話し合いの中では男性限定イベントであることが確認されていたのでしょう。

市民団体が苦情申し立て

市が計画に参与しているイベントで、女性を排除する男性限定イベントを行うとは何事だ、と市民団体が苦情を申し立て、市長が実行委員会に改善を要求することになりました(http://www.news24.jp/articles/2015/10/14/07312197.htmlhttp://digital.asahi.com/articles/ASHBF51RBHBFTIPE01W.html?_requesturl=articles%2FASHBF51RBHBFTIPE01W.html&rm=381)。

男性限定イベントは差別か?

女性限定イベントも行っているから差別ではないという主張について

そもそも男性限定イベントは差別ではない、むしろももクロは女性限定イベントも行っているのだから平等だ、という主張を見かけます。女性限定イベントと男性限定イベントが対になっているのだから、一方的な排除ではないというのです。
しかし、今回の市民団体の批判は、男性限定イベント自体を問題視しているわけではありません。大宰府政庁跡でイベント開催するためには、九州国立博物館開館10周年、水城築造1350年記念という大義名分が必要でした。この大義名分から、女性を排除する理由を合理的に導き出すことはできません。合理的理由もなく女性を排除するイベントを、市が実行委員会に参与する形で行うことが問題なのです。ももクロ運営が、別の機会に女性限定のイベントを行っていようが、この問題に関係ありません。市が関与しているイベントが、合理的理由もなく女性を排除するものであった、ということが問題なのです。

都営地下鉄の女性限定車両やすべての男性限定イベントも差別になるのか?

男性限定イベントに反対するなら、女性限定車両にも反対すべきだという極論も見かけました。しかし、多くの女性が痴漢と呼ばれる性犯罪の被害にあっているという事実を無視した極論に過ぎません。性犯罪から女性を守るために男性を排除するという合理的理由があります。
また、例えば「家事が苦手な男性のための料理教室」というような男性限定イベントを市が企画したとして、それが今回のように問題になるとは言えないでしょう。「女性の前では料理をしにくい人が、男性限定の料理教室でのびのびと学べる」というのはそれなりに説得的な理由になるからです。

映画のレディースデーも差別だ!という主張について

同様に、一私企業のイベントで、女性優遇の施策を行うことは問題ないでしょう。ただし、普段から優遇されている側が、さらに優遇されるような施策は、「差別を強化する」と批判されても仕方ありません。現実の力関係が考慮に入れられなければなりません。

どうすればいいのか?

市民団体

市民団体側の主張に瑕疵は見当たりません。市が関与する九州国立博物館開館10周年、水城築造1350年記念のイベントで女性を排除するならば、批判をするのは当然です。「ももクロは女性限定ライブもやっているし、男性限定ライブをしたっていいじゃないか!」と言ってもは、「市や博物館と無関係のイベントで、男性限定ライブをやってください。市が女性を排除するのが問題です、民間の私的イベントととして行うなら、別にどうぞ」と言われておしまいです。

ライブ運営

市が求めるように(http://www.news24.jp/articles/2015/10/14/07312197.htmlhttp://digital.asahi.com/articles/ASHBF51RBHBFTIPE01W.html?_requesturl=articles%2FASHBF51RBHBFTIPE01W.html&rm=381)、名称の変更(冠の削除?)と女性も買えるチケットの販売を行うよりほかないのではないでしょうか。

チケットの応募は締め切られて抽選になったが、まだ入金されていない分が2500枚ほどあるという。
http://digital.asahi.com/articles/ASHBF51RBHBFTIPE01W.html?_requesturl=articles%2FASHBF51RBHBFTIPE01W.html&rm=381

この2500枚のチケットは、女性も購入可ということで改めて販売すべきだと思います。これが現実的な落としどころではないでしょうか。ももクロのメンバーが悲しい思いをしないような対応を、運営に期待したいです。